相続人が行方不明⁉

こんにちは。
相続遺言あいち生活(終活)サポートオフィス
行政書士アイセイ事務所 です。
本日は、どのようなご用件でしたか?

こんにちは。
今日は、相続人についてなんだけど、
この前、お友達のお父さんが亡くなったんだけど、
そのお友達が、お兄さんと連絡と長年連絡をとってなくて
行方もわからないって困ってたのよ。

そういった、相続人の1人と連絡が取れない場合、
どう相続手続きを進めていったらいいのか
教えてもらいたいんだけど。

そうだったんですね。
そのお友達も苦労されていることと思います。

では、
今日は、相続人が行方不明なとき
どうしたらいいのかご説明していきますね。
相続人が行方不明:手続きに困ること

相続人が、行方不明だと
故人の死の連絡は、もちろんですが、
のちの手続きにおいても困ることがでてきます。

長年行方がわからないからといって
勝手に相続の手続きをすすめちゃいけないって
ことかしら?

そうなんです。
ただ、全てのケースにおいてではなく、
遺言書があり、その行方不明者が受益者(相続財産を受け取る人)
でない場合は、相続手続きを進めることができます。
「遺言書の作成」参照

しかし、遺言書がなく
相続財産を確定した後、その財産をどう分けるか相続人で話し合う
遺産分割協議においては、一部の相続人だけで決めるわけにはいかず
相続人全員で行わなければなりません。

そうか~
以前、遺産分割協議のお話のとき
相続人全員の合意が必要
って言っていたのを思い出したわ~
「遺産分割協議とは」参照

そうです。
遺産分割協議においては、相続人全員の合意が
大事なポイントでしたね。

ここで一度、
相続手続きの中でも
遺産相続までの流れをおさらいしましょう。
【遺産相続:流れ】
| 死後3か月以内 ① | 相続人の確定 をする |
| ② | 財産目録の作成 をする |
| ③ | 相続するか否かを選択する 相続放棄、限定承認 |
| 早めに ④ | 遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成 する |
⑤ | 相続した不動産の登記 など各種名義変更 |
| 死後10か月以内 ⑥ | 相続税の申告・納付 |

相続人の1人が行方不明なので
協議ができないからといって放っておくと
上記の表中の
相続放棄、限定承認、相続税の申告・納税の
期限がきてしまいます。

このほかにも
遺留分の請求にも期限がありますので、
注意しましょう。
「遺留分とは」参照

そっか。
手続きに期限があるものがあったわね。

じゃあ、
一刻も早く行方不明の相続人を探すには
どうしたらいいのかしら。

次に、
行方不明の相続人がいる場合の対応方法について
みていきましょう。
相続人が行方不明:対応方法

まずは、
連絡がとれず、どこにいるのかわからない場合は、
住所を調べることで連絡がとれる可能性があります。
【住所の調べ方】
| ① | 被相続人(亡くなった人)の戸籍を取得し、行方不明相続人の本籍地を確認する。 |
| ② | 行方不明相続人の本籍地にて、その人の戸籍の附票を取得する。 |

この戸籍の附票には、住民票と同じく
現在の住所が記録されています。
その住所を頼りに、
訪ねたり手紙を出したりして連絡をとってみましょう。

戸籍は、本籍地がわかるものだけではなく
附票というもので、住所が把握できるのね。

でも、住所変更してなかったりして
連絡がとれないってことも考えられるわよね。

そうですね、
長年住んでいる実態がないと、役所の職権にて
住所登録が抹消されることもあります。

そういった場合において、
相続手続きを進めるために、
次の2つの方法を検討します。
・不在者財産管理人の選出
・失踪申告の申立て
相続人が行方不明:不在者財産管理人の選出

不在者財産管理人とは、
不在者(行方不明者)に代わって
財産を管理する人のことです。

行方不明者に代わって不在者財産管理人がいれば
相続手続きを進めることができるのね。

ただし、
不在者財産管理人の選出にあたって、
1年以上行方不明であることが条件です。
●不在者財産管理人の役割
不在者財産管理人は、 利害関係のない第3者が選任されますが、
遺産分割協議への参加や同意する行為は、原則できません。
あくまでも、行方不明者に代わって相続で得る財産を管理します。
遺産分割協議が終了しても、行方不明者が現れるか死亡するまでその責務を負いまが、
その財産が無くなったときや、不在者について失踪先行がされたときには、
不在者財産管理人の役目が終わります。

不在者財産管理人が、遺産分割をする場合は
家庭裁判所の権限外行為許可を得る必要があります。

どうやって不在者財産管理人を決めるのかしら。

不在者財産管理人の選出は、
行方不明者の住所地または居住地を
管轄する家庭裁判所で行います。

先ほど、住所抹消について触れましたが、
住所も居住地も不明な場合は、
財産の所在地を管轄する家庭裁判所になります。
●不在者財産管理人になれる人
・相続に利害関係のない親族
・弁護士、司法書士などの専門家

一般的には、親族を選任することが多いですが、
公平な遺産分割をするために
利害関係のないなどの適格性がある必要があります。

そうよね。
他の相続人と関係があって、
その人に有利になってしまっては、いけないものね。

適した親族がいない場合は、専門家に依頼することも
できますが、報酬等が発生することがあります。
【不在者財産管理人:選出の流れ】
| ① | 選出のための申立てに必要な書類を準備する。 |
| ② | 家庭裁判所に書類を提出し、申立てをする。 |
| ③ | 家庭裁判所の審理を受け、審判が下される。 |

①~③まで、約1~3か月程度かかります。
【不在者財産管理人:おもな必要書類】
| ① | 申立書 |
| ② | 行方不明者の戸籍謄本、戸籍の附票 |
| ③ | 財産管理人(候補者)の住民票、または戸籍の附票 |
| ④ | 不在の事実を証する資料 ※1 |
| ⑤ | 行方不明者の財産に関する資料 ※2 |
| 手数料 | 800円(収入印紙) |
※1
不動産登記事項証明書、預貯金に残高がわかる書類(通帳の写し、残高証明書など)の財産目録
※2
返戻しされた行方不明者宛ての手紙、家出人届受理証明書(警察署発行)など

家庭裁判所で審判が下されるまで、
時間がかかるので早めに行いましょう。
相続人が行方不明:失踪宣告の申立て

行方不明者がいる場合においての
相続手続きを進める方法のもう1つが、
失踪宣告の申立てです。
●失踪宣告とは:
行方不明者が、行方不明になったときから7年(震災などの災害や船舶事故などの危難失踪の場合は、1年)以上
経過したときは、その行方不明者は法律上において死亡したものとみなされます。
第30条(失踪の宣告)
民法より
1 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。

何十年も連絡もなく行方や生死すらわからない場合は、
この失踪宣告ができるのね。

この失踪宣告の申立ては、
不在者財産管理人選出と同様に、家庭裁判所にて行います。

申立てが行われると、
多くの場合は、
不在者の親族などに対し、家庭裁判所の調査官による調査が行われます。

その後、裁判所が定めた期間内に、
・行方不明者は、生存の届出をするように
・行方不明者の生存を知っている人は、その届出をするように
官報や、裁判所の掲示板で催告をします。

その期間内に、これらの届出がない場合に失踪宣告がされるのです。

そうよね、
申立人が一方的に、行方不明だからといって
失踪宣告されることのないようになってるわけね。

失踪宣告によって行方不明者を相続人から除外することで、
遺産分割協議を進めることができるのですが、
通常、手続きに1年~1年半ほどかかります。

なお、相続手続きですが、
失踪宣告が認められた行方不明者は、死亡されたとみなされるので
子どもがいる場合は、代襲相続することになります。

そうか。
代襲相続につながっていくのね。

相続の手続きには、相続税の申告など
期限が決まっているものがある一方、
これらの不在者財産管理人の選出や、失踪宣告などには
時間や手間がかかります。

お困りのときは、放っておかず
行政書士アイセイ事務所 にご相談ください。

