自動車の相続手続きについて

こんにちは。
相続遺言あいち生活(終活)サポートオフィス
行政書士アイセイ事務所 です。
本日は、どのようなご用件でしたか?

今日は、
万が一、家族の誰かが亡くなったときに
自動車をどうやって相続したらいいのかを
教えてもらいたいんだけど。

そうですよね。
相続の手続きにおいて、
自動車を相続することは、たくさんのケースで発生します。

ちなみに、
愛知県では、自動車の所有率が全国1位で
1世帯に1台以上保有しているというデータもあり、
さすがトヨタのお膝元ですよね。

うちのお父さんなんて、
普通自動車のほかに軽トラックも持ってるのよ。
子どもの車も
お父さんの名義になってるんじゃないかしら。

では、
今日は、自動車をどう相続していくのか
ご説明していきますね。
自動車の相続:所有者の確認

自動車の所有者によって、手続きが異なるため
まずは、
自動車検査証(車検証)から所有者を確認しましょう。

車検証には、
所有者の記載のほかに使用者の記載もあり、
この2つは同じように感じますが、意味が異なります。
●所有者とは:
車の所有権を持つ人のことです。
自身の場合もあれば、家族の場合や、
ローンで購入していれば、クレジット会社やディーラーになっている場合があります。
●使用者とは:
車を実際に乗る人であったり、管理責任を持つ人のことです。

所有者と使用者は、同じ人とは限りません。

車の登録や、ナンバープレートの管轄は、使用者の住所で決定します。
相続において、
離れて住んでいる子どもがいる場合には、
その車の使用者は、子どもであっても
所有者は、被相続人(亡くなった人)になっていることもあるので、
注意しましょう。

そうよね。
うちの子どもの車検証を見て所有者の確認をしてみるわ。

この車の所有者ですが、
車を購入する際に、一括払いではなく
ローンを組んで返済している場合は、
完済し終わるまで自分名義ではありません。

あら、そうなの?
お父さんの軽トラック、まだローンが残ってるわ。
ってことは、
所有者は、お父さんではなく、誰になってるのかしら。

一般的にローンで購入したときは、
新車で購入した場合は、ディーラー、
中古の場合は、クレジット(ローン)会社
がそれぞれ名義となることが多いです。

その場合は、
自動車は、被相続人(亡くなった人)の所有ではないため
まずは、その会社に連絡をし、
ローンの再契約や引き継ぎなどを行います。

所有者が、被相続人(亡くなった人)本人であった場合は、
相続になります。

どのケースであっても、
必ず所有者の確認をしましょう。
自動車の相続:方法

相続が発生したら、まず
遺産の分割や、相続税の計算をするために
被相続人(亡くなった人)にどんな遺産・財産があるのかを
明らかにする必要がありましたね。
「財産目録について」参照

被相続人(亡くなった人)が所有者だった自動車は、
相続財産にあたるので、財産目録に記載をしましょう。

次に、他の財産と同様に
だれにどの財産を分けるといった遺産分割協議において、
自動車の今後の行方を決めます。
もちろん、遺言書があれば、それに従います。
「遺産分割協議とは」参照

自動車の今後の行方の選択肢としては、
・相続人の誰かが相続する。
・廃車にする。
・譲渡処分(売却)する。
のいずれかを選択しますが、
どの選択肢においても、名義変更が必要となってきます。

へぇ~
廃車にするにも、名義変更が必要なのね。

遺産分割協議書を作成する場合は、自動車についても記載します。
以前、遺産分割協議書には決まった様式はないと
ご説明しましたが、
自動車においては、決まった遺産分割協議書の様式があります。

自動車が普通車であって、
その評価額が、100万円を超えると、
名義変更の際、必ずこの決まった様式での遺産分割協議書が必要です。

軽自動車は、どうなるの?
| 普通自動車:評価額100万円超 | 遺産分割協議書が必要 |
| 普通自動車:評価額100万円以下 | 遺産分割協議書 または、遺産分割協議成立申立書が必要 |
| 軽自動車 | 遺産分割協議書は不要 |

軽自動車の場合は、
遺産分割協議書は不要であり、
新しい所有者の住所を管轄する軽自動車検査協会に
移転登録手続きします。

自動車の相続における遺産分割協議書は、
陸運局のホームページよりダウンロードできます。

100万円ってのは、購入したときの金額とは違うわよね。
どうやって、調べるのかしら。

そうですね。
購入金額ではなく、相続が発生した時点でその車がいくらに相当するか
を把握します。

自動車の名義変更のために、車の評価額が必要となるほか、
相続税の計算においても評価額が必要となります。
自動車の相続:評価方法

まず
相続において自動車は、一般動産として評価されます。
●一般動産とは:
建物や土地などの不動産を除いたすべての財産を動産といい、
動産は、財産評価基本通達では5つに区分されます。
そのうちの1つが、一般動産です。
<動産の区分>
・一般動産
・たな卸商品等
・牛馬等
・書画骨董品
・船舶
一般動産には、自動車、家具家電、衣服、生活用品などが含まれます。

一般動産の評価は、次の2つの金額を参考にします。
●売買実例価格
市場での買取価格のこと。
今では、インターネットでその車の情報(車種、年式、走行距離など)をもとに査定価格を
調査することができます。
●精通者意見価格
車買取業者での、買取査定の価格のこと。
インターネットで調べた価格より、現実的な金額になります。

ここで得た金額をもとに、
名義変更での必要書類の参集や、相続税の申告をします。
自動車の相続:名義変更

相続人の1人が、自動車を引き継ぐ場合はもちろん、
先でも述べましたが、廃車の場合でも名義変更を行いましょう。

自動車の名義変更は、
普通車の場合は、陸運局
軽自動車の場合は、軽自動車検査協会で行います。

一般的な必要書類についてみていきましょう。
【一般的な必要書類】
| 【普通自動車:評価額100円超】 | 【普通自動車:評価額100円以下】 | 【軽自動車】 |
| 移転登録申請書 | 同左 | 自動車検査証記入申請書 |
| 車検証 | 同左 | 同左 |
| 被相続人(亡くなった人)の 戸籍(除籍)謄本 | 同左 | 同左 |
| 相続人全員の 戸籍謄(抄)本 | 同左 | 新しい所有者(相続人) 戸籍謄(抄)本 |
| 新所有者の 印鑑登録証明書 | 同左 | ー |
| 新所有者の 実印 | 同左 | 新所有者の 認印 |
| 新所有者の 車庫証明 | 同左 | ー |
| 自動車税申告書 | 同左 | 軽自動車税申告書 |
| 遺産分割協議書 | 遺産分割協議書、または 遺産分割協議成立申立書 | ー |
| ー | 新所有者の 住民票 | ー |
| ー | 自動車の査定書 | ー |
・車検証は、検査有効期限があるか確認しましょう。
・ 被相続人(亡くなった人)の戸籍(除籍)謄本は、死亡の記載があるもの。
・普通自動車の手数料は、500円(収入印紙)です。

自動車の名義変更とあわせて、
任意自動車保険の名義変更も忘れずに
行いましょう。

そうよね。
保険の名義も変えないまま
事故でも起こしたら大変なことになるわ。

廃車にする場合は、保険料がかえってくる場合もあります。
保険の手続きは、会社によって必要な書類が異なるため
早めに保険会社に被相続人の死亡の事実を伝え、
保険会社の指示に従いましょう。

遺産分割協議書の作成にもかなりの時間と手間がかかりますが、
自動車の名義変更も、手間がかかるうえ、
慣れない場所(陸運局など)に行く必要があります。
お忙しい方や、ご不安な方は
行政書士アイセイ事務所 にご相談ください。

