自筆証書遺言保管制度について

こんにちは。
相続遺言あいち生活(終活)サポートオフィス
行政書士アイセイ事務所 です。
本日は、どのようなご用件でしたか?

こんにちは。
今日は、遺言についてなんだけど、
以前に作成について教えてもらったけど、
自分で書いたものを
保管するにはどのようににすればいいのかしら。

遺言の保管方法についてですね。わかりました。
以前にもちらっとお話しましたが、
今日は、もう少し詳しくお話していきますね。
「遺言書の作成について」参照

まずは、自分で書く
自筆証書遺言についておさらいしましょう。
自筆証書遺言について(おさらい)

遺言は、
法律上は「いごん」と読むことをお伝えしましたが
覚えてましたか?

そうそう、「ゆいごん」ではなく「いごん」なのよね。
遺言執行者は、「いごんしっこうしゃ」と読むのよね。
「遺言執行者とは」参照

そうですね。
遺言=いごん と読みますが、
自分で書いた遺言は、一般的に
自筆証書遺言(じひつしょうしょゆごん)
と呼ばれます。

自筆証書遺言ですが、
法律で定められた条件を満たした書式のみ法的効力をもつため
その条件にそぐわなかったり、内容に不備などがあると
無効になってしまうケースがあります。
【自筆証書遺言:様式のおもな注意事項】※詳細は「遺言書の作成」参照
・本文は、本人の手書きで書くこと。
ただし、財産目録は、パソコンでの作成可能。
・日付を書くこと
・署名・押印すること

自筆証書遺言のメリットは、
公正証書遺言などとは違い、
費用はかからず特別な手続きなどの必要がないため
お手軽に作成できることです。

その反面、
自分で保管せねばならず紛失の恐れや、
見つけてもらえない可能性があったり
偽造されるなどのデメリットがありましたね。

そこで、
これらのトラブルを回避するのに役立つ
自筆証書遺言保管制度が
2020年7月より始まりました。

せっかく書いた遺言を見つけてもらえなかったら
と心配してたわ。
どんな制度なのか、詳しく知りたいわ~
自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言保管制度とは、
遺言者が、自分で書いた遺言を
法務局に保管の申請することができる制度です。

まずは、簡単に手続きの流れをご説明します。
| ① 生前 | 遺言者は、遺言書を作成し、管轄の法務局にて保管の申請をする。 |
| ② | 法務局にて、遺言書の保管される。 |
| ③ 死後 | 相続人は、遺言書の閲覧請求ができる。 |

公的な場所に預けれるのは、保管場所として安心ね。
遺言書を他の相続人に改ざんされる心配もなくなるわね。

では、具体的な手続きの内容についてみていきましょう。
【遺言者:遺言書の保管の申請方法】

生前に遺言者が、遺言書を保管する手続きは
以下のとおり行います。
| ① | 自筆で遺言書を作成する。=自筆証書遺言 |
| ② | 申請書を作成する。 |
| ③ | 法務局に遺言書を持参し、保管を申請する。 |
| ④ | 保管証を受け取る。 |
<注意点>
・遺言書の用紙は、A4サイズ(余白:左20mm以上、上と右5mm以上、下10mm以上)で、
裏面の記載は不可です。
・遺言書は、ホチキス止めしないこと。
・保管の申請は、本人以外できません。郵送申請や代理での申請は不可です。
・保管の申請には、予約が必要です。
・保管の申請は、いずれかの管轄する法務局に限られます。
遺言者の住所地
遺言者の本籍地
遺言者が所有する不動産の所在地
・法務局では、遺言書の内容を相談や審査することはできません。
【申請に必要な書類】
・遺言書
・申請書
※法務局のホームページよりダウンロードできます。
・申請者の住民票
※本籍地の記載のあるもの、作成後3か月以内のもの
・免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
・手数料 3,900円
※収入印紙を手数料納付用紙に貼ります。

遺言書は、
原本の保管のほか
書面を画像データ化して保存されます。

保管している遺言書は、有料ですが、
遺言者本人にかぎり
いつでも閲覧することができます。

また、
書き直したいときは
いつでも保管の申請の撤回をすることができ、
原本を返還してくれるので、修正後に再提出することができます。

保管の申請以降に住所や氏名などに変更があった場合は、
忘れずにその旨の届け出をしましょう。
なお、変更の届出には手数料はかかりません。

手数料の3,900円がかかるけど、
公正証書遺言を作成して何万円とかかるよりは
安価で安心したわ~。

交付される保管証は、
家族に遺言書を法務局に預けたことを知らせるのに
使うこともできますよね。
【相続人等:遺言書の確認のための申請方法】

遺言者が亡くなったあと、
相続人等は、遺言書の存在を調べますが、
法務局に、遺言書が保管されていないかを確認する際には、
遺言書保管事実証明書の交付を請求します。

遺言書保管事実証明書は、遺言書の保管の有無を証明するもの
で、遺言書の内容を確認することはできません。
手数料は、1通800円です。

保管されている遺言書の内容を確認するには、
遺言書情報証明書の交付請求をします。
【遺言書情報証明書の交付申請について】
| ① | 必要書類を用意する。 |
| ② | 交付請求書を作成する。 |
| ③ | 法務局に交付請求する。 |
| ④ | 証明書を受け取る。 |
<注意点>
・交付請求することができる者は、
相続人、受遺者、遺言執行者などに限られます。
・交付申請には、予約が必要です。
・窓口申請のほか、郵送申請をすることができます。
【申請に必要なおもな書類】
①亡くなった遺言者(被相続人)の出生から死亡までの
戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本
②相続人全員の戸籍謄本
③相続人全員の住民票の写し
④申請書
※法務局のホームページよりダウンロードできます。
⑤申請者の免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
⑥手数料 1,400円
※収入印紙を手数料納付用紙に貼ります。
※法定相続情報一覧図がある場合は、①~③を省くことができます。
法定相続情報一覧図について「法定相続情報証明制度」参照

この遺言書情報証明書は、
遺言者の銀行口座からの預金の引き出しや
不動産名義の書き換えなどに使用でき
相続手続きの円滑化になります。

この証明書のほか、
遺言書の閲覧を請求することで、
遺言書の内容を確認することができます。
遺言書の画像データのモニター閲覧の手数料は、1,400円
原本の閲覧で手数料は、1,700円かかります。

相続人の1人が、遺言書情報証明書の取得した場合や、
閲覧した場合でも、
他の相続人等に遺言書の存在が通知されます。

通知により、すべての関係相続人等に
遺言書が保管されていることが伝わりますが、
こういった証明書の請求や閲覧がなければ、
原則、遺言書の存在は伝えられません。

公正証書遺言以外の遺言書は、
開封前に家庭裁判所による検認が必要ですが、
自筆証書遺言を法務局に保管した場合は、
検認は不要になります。

なんだかいい制度ね~

この制度は、あくまでも保管のためなので、
遺言書の作成方法や内容について、
アドバイスが欲しいときは、
行政書士アイセイ事務所 にご相談ください。


