遺言執行者とは

こんにちは。
相続遺言あいち生活(終活)サポートオフィス
 行政書士アイセイ事務所 です。
本日は、どのようなご用件でしたか?

こんにちは。
今日は、遺言執行者について教えてもらいたいんだけど、
これは、決めておかないといけないものなのかしら。
誰でもいいのかしら。

遺言執行者ですね。わかりました。
今日は、遺言執行者について、わかりやすくご説明していきますね。

遺言執行者」は、「いごんしっこうしゃ」と読みます。

法律上だと、
遺言」は、
一般的な「ゆいごん」ではなく、「いごん」と読んでいます。
なんだか不思議ですね。

遺言執行者は、遺言執行人と呼ばれることもありますが、
民法上は、遺言執行者となっているので、
ここでは、遺言執行者でご説明していきますね。

へ~。
法律上は、「いごん」 なのね。

遺言執行者を必要とする場合

遺言執行者とは:
 遺言の内容を実現するために、必要な手続きを行う権限を持つ人のことです。

遺言がない場合は、遺言執行者は必要ありません。

反対に、遺言書がある場合、
遺言執行者がいなくても問題ないケースもありますが、
遺言書の内容によっては、遺言執行者が必要になることがあります。

では、
どういう場合に、遺言執行者が必要かというと、
1つは、「相続廃除」がある場合です。

相続廃除とは:
 相続の権利を持つ法定相続人の中に、生前の遺言者に対し侮辱や虐待などを行った人がいる場合、
 遺言者の意思により、その相続人に対し遺産を渡さないように相続人としての権利を奪うこと。

 遺言で、相続廃除の手続きをする場合は、
 手続きを家庭裁判所で行う必要があり、この時、遺言執行者が必要になります。  

ちなみに、
この相続廃除は、生前に行うこともできます。

その場合は、遺言者が、家庭裁判所に申立てをして行います。
しかし、相続廃除をした後、
廃除された人が反省して、その後しっかりやってくれたなどで、
相続廃除を取り消したいなどといった場合、遺言者は、
再度、家庭裁判所に「相続廃除の取消」の申立てることができます。
また、遺言において、相続廃除の取消をすることもできます。
この場合も、遺言執行者が必要になります。

遺言で、「認知」がある場合も、遺言執行者が必要です。

認知とは:
 婚姻関係がない男女の間に生まれた子供を、父親が自分の子だと認めることです。
 認知されると、子として認められ、相続人として遺産を受け取ることができるようになります。

 遺言により認知がある場合は、遺産執行者が認知届をなどの手続きを行います。

遺言があると、遺言執行者が必要になる場合があるのね。
その遺言執行者は、誰がなれるの?
どんなことをしないといけないのかしら。

遺言執行者なんて、聞きなれないですしね。
この遺言執行者は、基本的には誰でもなることができます。
ただ、未成年と破産者はできません。

あ、そうなの?
執行者なんていうと難しい事をやりそうで、
法律の専門家とか裁判所の人とか
そんなプロがやるような感じかと思ってたわ。

この遺言執行者は、
遺言書のなかで、事前に指定して決めておくこともできますし、
決めておかなくても、
遺言執行者を誰に決めてもらうなどと指定しておくこともできます。

遺言書で指定していない場合や、
指定していた人が、すでに亡くなっていた場合などは
家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうこともできます。

相続人や受遺者が、遺言執行者となることもできますし、
法律の専門家に依頼することもできます。

ただ、遺言書を書いたら
そこに、遺言執行者について指定しておかないといけない
という決まりはありませんし、
遺言書に、遺言執行者を指定しておく場合は、
事前に、遺言執行者となってくれるように確認したほうがいいでしょう。

遺言執行者の選任は、断ることもできるので、
勝手に指定してるだけだと、断られることも出てきますので
注意しましょう。

遺言執行者がやること

では、実際に、
遺言執行者がどういった事をやるのか、
どんな風に選任するのかの流れをご説明します。

  相続の開始

遺言執行者の選任
選任されたら、承諾するか断るかを決めます。
遺言執行者の承諾遺言執行者となったことを相続人全員に通知します。
遺言内容の通知相続人全員に遺言内容を通知します。
遺言の内容を実行するための
手続き開始
遺言実行のための書類や調査をします。
法務局、金融機関、役所などやることがたくさんあります。
遺言内容を執行遺言内容を集めた書類や調査内容から実行します。
相続人全員に
完了の報告
すべての執行が終わったことを報告します。

流れとやることを簡単に書いてみましたが、
遺言の内容を実行するための手続きと、
遺言内容の執行は、とても大変になります。
法務局や銀行、役所など平日の昼間に行く必要がありますよね。

ただ、相続人が複数いる場合など、
手続きのたびに集まり、話し合ってとやっていたら、
時間と手間がとてもかかりますが、
遺言執行者が行うことで、迅速に行うことができます。

法改正で変わったこと

この遺言執行者に関して、
2019年7月1日に施行された法律で、
遺言執行者の権限が明確化されました。
今までは、明確に書かれていなかったのです。

今までは、
遺言執行者が、任務を開始したことや遺言書の内容を相続人に通知するというのが、
法律上明文化されておらず、トラブルを引き起こすことがありました。

<トラブルの例>
遺言書の内容が、ある相続人にとって不利益な内容だった場合に、
その相続人に遺言執行者になったことや遺言書の内容を伝えないままで手続きを進めたため、
後からもめごとになってしまった。

そこで、
遺言執行者は、公正・中立であるべきということで、法改正により明文化されたのです。

他にも、
今までは、
遺言執行者は、相続人の代理人という立場であったのが、
法改正により、
遺言者の代わりに遺言を執行する立場となり、
相続人の代理人でなく、遺言者の意思の実現のためのものとなりました。

第千七条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
第千十五条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

民法より

このように
遺言執行者の権限について、あいまいだった部分が明確になりました。

法律で、あいまいだった部分を明文化するだけでも
全然対応が変わってくるのね。
なかなか大変ね。

そうですね。
いろんな解釈ができてしまうと、法律としては穴だらけになってしまいますよね。
公正で中立でないといけませんよね。

今日は、遺言執行者についてどんなことをするのか
わかったわ。
それに、何より衝撃的だったのが
遺言執行者=いごんしっこうしゃ
と読むことね。いごんかぁ。

はい。
いごんについて詳しく知りたいときは
行政書士アイセイ事務所 にご相談ください。

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