遺留分とは

こんにちは。
相続遺言あいち生活(終活)サポートオフィス
 行政書士アイセイ事務所 です。
本日は、どのようなご用件でしたか?

こんにちは。
今日は、遺留分について教えてもらいたいんだけど。

わかりました。
遺留分についてですね。わかりやすいようにご説明しますね。

遺留分(いりゅうぶん)とは

遺留分というのは、
一定の法定相続人に、最低限保障された相続分の割合のことをいいます。

一定の法定相続人というのは、
配偶者・子・直系尊属で、子供の代襲者も含まれます。

直系尊属(ちょっけいそんぞく)というのは、
自分の祖先の系列にあたる人のことをいいます。
自分の父母、祖父母などがこれにあたり、
血縁関係だけでなく、養子縁組などの親子の血縁関係も直系尊属
となります。

なお、兄弟姉妹は、直系尊属にあたらないため、遺留分はありません。

遺留分の割合は、
相続人となる者が、被相続人(亡くなった人)の父母など直系尊属だけの場合は、
遺産の1/3の遺留分が認められます。

それ以外のケース、例えば、
・配偶者または子供のみが相続人となる場合
・配偶者と子供が相続人となる場合
・配偶者と親が相続人となる場合
などの場合は、1/2が遺留分割合となり、
遺留分を受け取る権利のある相続人の法定相続分で分けることになります。

この遺留分を受け取る権利のある相続人のことを
遺留分権利者」といいます。

遺留分ね~、
でも、その遺留分は、どういうときにその権利が出てくるの?
普通に遺産を分割すればいい話じゃないの?

そうですね。
法定相続人が何人かいて、遺言がなかった場合は、
遺産分割協議をして相続割合を決めていきますよね。

では、遺言があって
遺言で、相続人以外の第3者に財産をすべて遺贈するなんてなっていたら、
どうしますか?

あ~!なるほど。
そうなると
遺言のとおりに財産が、すべてその人にいってしまうってことになるわね。
遺産分割協議どころじゃないって話よね。

そうなんですよね。
残された遺族が相続人であるのに、何も相続できなくなってしまうと、
生活に困ってしまったりすることも出てきますよね。

そこで、
民法で、一定の相続人に最低限の遺産を受け取れる権利を認めていて、
これが遺留分です。

じゃぁ、万が一遺言があって、
遺言で、誰に財産を全部遺贈するみたいなのがあっても、
遺留分権利者だったら、ちゃんと遺産が受け取れるわね。

いえ、
それが、遺留分があるからといって、
ちゃんと受け取れるというわけでもないんです。

遺留分を請求する手続きを行う必要があります。
その手続きを「遺留分侵害額請求」といいます。

遺留分減殺請求/遺留分侵害額請求

この遺留分侵害額請求というのは、
2019年7月1日に施行された新しい制度で、
法改正前は「遺留分減殺請求権」というものでした。

改正前の遺留分減殺請求権では、
遺留分を侵害された人が、贈与を受けた人に対し、
遺留分の侵害限度の範囲で、贈与された財産の返還を請求できました。

ちょっと例であげると、
会社(評価額1億円)を長男に、預金(5、000万円)を長女に
といった遺言があったとします。

改正前では、
受け取ることができる遺産の金額が、兄弟のあいだで違いすぎるとして、
長女が、長男に遺留分減殺請求権を行使すると、
長女の遺留分を侵害しているなり、
長男の受けた会社の持ち分を分けることになりました。

遺留分減殺請求権の行使は、金銭での対応が、難しかったところを、
法改正により、 遺留分侵害額請求では、
遺留分侵害額を金銭で請求できるようになりました。

遺贈や贈与を受け請求される側の人が、
金銭をすぐに準備できないなどの場合には、裁判所に対して
支払期限の猶予を求めることができます。

ただ、この遺留分侵害額請求でも折り合いがつかなかったり、
相手が支払わないなどと言う場合は、
家庭裁判所での調停などで決めることとなります。

法改正前は、
会社とか不動産を相続した場合、
何人もが、不動産の持ち分を持っていたことがあったのね。
そんなんじゃ、不動産とか売却する時相当大変だったりしたんでしょうね。

そうですね。
改正後は、遺留分減殺請求によって生じる権利は金銭債権となるので、
法改正のメリットとして、
遺留分減殺請求権で発生していた共有関係を回避できますし、
遺言者が、これを誰に遺贈したいなどといった意思を尊重できます。

遺留分侵害額請求の方法は?

それでは、
もし自分の遺留分が侵害されているとなった時、
遺留分侵害額請求をどうやってやるのかをご説明します。

遺留分の対象となる財産は、次の範囲の内容になります。

・特別受益となる生前贈与(相続開始から10年前までのもの)
・相続人以外への生前贈与(相続開始から1年前までのもの)
・遺留分権利者の侵害となるのを知ってなされた相続人以外への生前贈与
・相続発生の時の財産

法改正前は、特別受益となる生前贈与は、期間に関係なく遺留分算定の対象になっていましたが、
この改正で10年前までとなりました。

特別受益について「特別受益とは」参照

遺留分が侵害されているかもしれないとなった場合は、
この対象となる財産の範囲の内容をまず把握し、
侵害されているのかを調べることになります。

そのうえで、
侵害されている場合は、遺留分侵害額請求を行うことになります。

遺留分侵害額請求の方法は、
特に決まった方法を法律で決められてなく、口頭でもできますが、
請求には時効があるので、
時効を過ぎていないことを証明できるよう、
書面で請求するといいでしょう。

時効は、次のとおりです。

遺留分侵害額請求の時効

  1. 相続の開始か遺留分を侵害する贈与や遺贈があったのを知った時から1年
  2. 相続開始時から10年

この1か2をどちらかが過ぎたら、もう請求できません。

遺留分を侵害する贈与や遺贈があったのを知らなかったとしても、
相続開始から10年が過ぎると時効となってしまうので、
早めに該当するかを把握し、請求の手続きをとりましょう。

遺留分侵害額請求の方法として、
書面を相手に送って終わりというわけではなく、
送った後には、
どのように返金してもらうのか、いつまでに返金してもらえるのかなど、
いろいろ交渉する必要が出てくるので、
合意書などを作成し、後に争うことがないようにしておく方がいいですね。

平和に解決できればいいけど、
やっぱりそういった書面とか重要になるのね。
後からもめることがないように
きちんとしておかないとダメね。

そうですね。
口頭だけでの話し合いで、あの時にこう言った、言ってない、などなっても
困りますしね。
お金の問題なので、きちんと残しておかないと、
今後の生活に支障が出たら困りますしね。

万が一、その話し合いで決まらなかったらどうしたらいいのかしら?

そしたら、家庭裁判所で遺留分侵害額請求の調停となります。
この調停で、まとまらない場合は訴訟となります。

この遺留分ですが、放棄することもできます。

遺言で、遺産が他の人のものになってしまっても、
遺留分権利者が、遺産いらないよという場合、
特に請求などの手続きをすることはなく、
そのまま放置しておけばよいことになります。

遺留分権利者が複数いて、1人が遺留分を放棄したとしても、
他の遺留分権利者の遺留分が増えることはありません。
ただ、生前に遺留分の放棄をする場合、
家庭裁判所の許可が必要になり、遺留分放棄の許可の審判を申し立てます。

放棄もできるのね。
もし、請求する場合は、時効があるから気を付けないといけないわね。
覚えておかなくちゃ。

うっかりは、大敵です。
請求するのを忘れてた~となる前に
行政書士アイセイ事務所 にご相談ください。

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