法定相続情報証明制度とは

こんにちは。
相続遺言あいち生活(終活)サポートオフィス
行政書士アイセイ事務所 です。
本日は、どのようなご用件でしたか?

こんにちは。
今日は、相続のことで聞きたいことがあるんだけど、
相続が発生したら、
被相続人(亡くなった人)の戸籍をさかのぼって調べたりするでしょ?

それで、
戸籍をいくつかの役所で取り寄せたりするのは、
必要だから頑張ってやるしかないんだけど、
何通も何通もあって、
たくさん持ち歩いて提出したりするのは大変そうで。。。
なんかいい考えはないのかしら。
何通もあると、そのうちの1枚がなくなったとか、
そういったうっかりも出てきそう。

あ~、戸籍ですよね。一生分集めると、たくさんですよね。
わかります。
戸籍の収集について「相続人の調べ方(戸籍)」参照

法定相続人が誰なのかを調べないといけないから、
被相続人(亡くなった人)が生まれてから死亡するまでの
戸籍謄本、除籍謄本や改正原戸籍謄本やらを集めないといけないですから。

これがいわゆる「戸籍の束」と呼ばれるものです。

単に、戸籍の束を集めるにも、何千円と手数料がかかるし、
各種名義変更のために同じ戸籍の束を複数セット用意すれば、
その分手数料がかさみます。
いろんな手続きの度に、同じ戸籍の束を使いまわすなら、
すべての名義変更が終わるまでに時間がかかりますし。
各種名義変更について「公共料金の名義変更」参照

そこで、こういった手間を減らすために、
法務局が始めた制度「法定相続情報証明制度」があります。
法定相続情報証明制度

どういう制度かというと、
まず、
相続人は、集めた被相続人(亡くなった人)の戸籍の束を元に
法定相続人の一覧図を作ります。

この一覧図と戸籍の束を一緒に法務局に提出すると、
登記官がチェックし内容が正しければ、
一覧図に認証文を付けた写し(証明書)を交付してくれます。
しかも、この証明書の請求は、何枚でも無料です。

なので、法務局でこの証明書を何枚か交付してもらっておけば、
同時に各種名義変更の手続きを進められるようになります。

へ~!
いろんな名義変更の手続きのたびに、
たくさんの戸籍を持ち歩かなくても大丈夫になのね!
少しは楽かも。

その証明書は、詳しくどういったことに使えるのかしら?
でも、どっちにしろ戸籍をさかのぼる作業はしないといけないのね。
そこももう少し楽になったらいいのに。

証明書が使えるのは、
おもに不動産、自動車、預貯金や株式の名義変更などです。
名義変更手続き以外にも、
遺産相続分割調停や相続放棄をする時の手続きに使用できます。

注意しないといけない点として、
この法定相続情報証明書は、
被相続人が死亡した時点での法定相続人を証明するものなので、
その後この法定相続人が相続放棄されたりした場合は、
各種手続きにおいて相続放棄の証明書も併せて提出する必要があります。
法定相続情報証明書:必要書類と手続きの流れ
①提出する書類を用意
【必ず用意する書類】
| 必要書類 | 取得先 |
| 被相続人(亡くなった人)の戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本 (出生から死亡までの連続した戸籍を用意します) | 被相続人の 本籍地の役所 |
| 被相続人(亡くなった人)の住民票の除票 | 被相続人の 最後の住所地の役所 |
| 相続人の戸籍謄本または抄本 (相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本を用意します) | 相続人の 本籍地の役所 |
| 申出人の氏名・住所を確認できる公的書類いずれか1つ ・運転免許証のコピー ・マイナンバーカードの表面のコピー ・住民票の写し | - |
※免許証とマイナンバーカードのコピーについては、
原本と相違がない旨を記載して、申出人の記名と押印します。
【必要になる場合がある書類】
| 必要書類 | 取得先 |
| 【法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合】 各相続人の住民票の写し ※法定相続情報一覧図に相続人の住所記載をするかは、 相続人の任意 | 各相続人の 住所地の役所 |
| 【委任による代理人が申請の手続きをする場合】 ① 委任状 ② (親族が代理する場合) 申出人と代理人の親族関係が分かる戸籍謄本 ※ただし、①か③の書類で親族関係が分かる場合は不要 ③(資格者代理人が代理する場合) 資格者代理人団体所定の身分証明書の写しなど | |
| 【②の書類を取得することができない場合】 被相続人の戸籍の附票 ※被相続人の住民票の除票が市区町村において 廃棄されているなどして 取得できない場合、被相続人の戸籍の附票を用意する | 被相続人の 本籍地の役所 |
②法定相続情報一覧図の作成
- 被相続人(亡くなった人)の戸籍の束から判明する法定相続人を一覧にした図を作成します。
- 上記に一覧図に、被相続人の氏名、最後の住所、最後の本籍、生年月日および死亡年月日
並びに相続人の氏名、住所、生年月日および続柄の情報などを記載します。
<ポイント>
・被相続人の最後の本籍の記載は、任意です。
・最後の住所は、一覧図と一緒に提出する住民票の除票や戸籍の附票により確認します。
・相続人の住所の記載は、任意です。記載した場合、その相続人の住民票の写しの提出が必要です。
・相続放棄をした相続人がいる場合も一覧図には氏名、生年月日、続柄を記載します。
・推定相続人が廃除された場合は、その方の氏名、生年月日、続柄は記載しません。
・続柄は子の場合は「子」、配偶者は「配偶者」の記載でも可。
(その場合相続税の申告手続き等に使用できない場合もある)
・一覧図の作成は、A4(縦)の丈夫な白紙を使用し、
下5cm程度は認証文を記載するためのスペースをあけます。
・手書きの場合でも明瞭に判読できるものであれば可。
・一覧図の作成者は、下部分に作成者の署名または記名押印をします。

手書きでも大丈夫なのね!
パソコン苦手な人でも大丈夫そうで少し安心したわ。
でも、どう記入したらいいかなんだか複雑だわ。
代理人でも作れるなら、
行政書士さんにお願いしても大丈夫ってことかしら。
③登記所へ申出
| 申出をできる人 | 被相続人(亡くなった人)の相続人 (当該相続人の地位を相続により承継した者含む) |
| 代理人となれる人 | 法定代理人 民法上の親族 資格者代理人 (弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、 社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士) |
| 申出をできる 登記所(法務局) ※窓口申請のほか 郵送申請も可 | 以下の地を管轄する登記所 被相続人(亡くなった人)の死亡時の本籍地 被相続人(亡くなった人)の最後の住所地 申出人の住所地 被相続人名義の不動産の所在地 |
補足:法定相続情報証明書について

法定相続情報証明書は、
相続手続きに必要な範囲で複数枚発行してもらえます。
もし、再交付が必要になる場合は、
法定相続情報一覧図の保管期間中(5年間)は再交付してもらうことができます。

ですが、再交付の申出をすることができるのは、
当初に一覧図の保管等の申出をした申出人に限られるので、
他の相続人が再交付を希望する場合は、
当初の申出人から委任が必要となります。

推定相続人の廃除があった場合には、
法定相続情報一覧図には原則その排除された者の記載はされません。
推定相続人の廃除について「相続の共通効力」参照

他にも、
被相続人(亡くなった人)や相続人が日本国籍を持っていないなど、
戸除籍謄・抄本を取得・提出することができない場合は、
この制度は使えません。

また、
被相続人の死亡後に子の認知があったり、
被相続人の死亡時に胎児だった者が生まれたり、
一覧図の証明書が交付された後に相続人の廃除があった場合など、
被相続人の死亡時点にさかのぼって相続人の範囲が変わるような時には、
当初の申出人は再度法定相続情報一覧図の保管などの申し出ができます。

一覧図に記載する被相続人(亡くなった人)との続柄を、
戸籍に記載される続柄(養子など)でなく
申出人の選択で「子」と記載することも差し支えはありませんが、
その場合は、相続税の申告などこの一覧図の写しが使えない場合が
あり注意が必要です。
補足:登記所へ申出について

全部の書類を用意できて、
一覧図も作成できたら、
申出書に必要事項を記入し登記所へ申し出をします。
※申し出は郵送でも可能です。その場合は、申出書と併せて返信用封筒や切手同封します。

そうか、
養子を子の表記にしてしまうと
相続税の申告に使えないこともあるのね。
わかりました。ありがとう。
この証明書を用意したら、
いろんな名義変更の手続きにかかる時間がだいぶ短縮できそうね。

不慣れな方が、戸籍の束を用意し、
さらにこの一覧図を作成するのは容易ではありません。
書類作りの手間も大敵であり、
何がなんだかわからなくなってしまったときは、
行政書士アイセイ事務所 にご相談ください。

