祭祀承継とは

こんにちは。
相続遺言あいち生活(終活)サポートオフィス
 行政書士アイセイ事務所 です。
本日は、どのようなご用件でしょうか?

こんにちは。
いつも母がお世話になってます。
今日は、「さいししょうけいしゃ」というのは
何かを教えてもらいたいんですけど。

祭祀承継者ですね。
それでは、今日は祭祀承継者についてご説明しますね。

最近母が、
こちらでいろんなことを教えてもらっているようで、
エンディングノートとか、相続についてとか結構楽しみながら
考えているみたいなんですよ。

で、
このあいだ「さいししょうけいしゃ」っていうのが
どうのこうのって言いだしたんだけど、
私にはチンプンカンプンでわからなくて。
私も、
こちらで少し勉強させてもらおうかと思って今日はお邪魔しました。

そうだったんですね!
楽しんで進めているなんて、こちらとしては説明した甲斐がありました。
ありがとうございます。

相続は、下手すると親族でもめたりしますしね。

さいししょうけいしゃは、 漢字では祭祀承継者と書きます。
どういうことか簡単にいってしまうと、
先祖代々からのお墓を管理する人のことを指します。

祭祀承継者って、お墓を管理する人のことなんですね!
初めて聞く言葉だったんで、何かと思いました。
ただ、祭祀承継者というと、なんか仰々しいというか、
なんかすごい事でもしないといけないんですかね・・・?

そうですね。
昔は、お墓って、亡くなったら一族代々のお墓に入り、
それぞれお寺の檀家さんになっていて、
お盆やお彼岸や命日などでは、
お坊さんに家に来てもらいお経をあげてもらったりなど
といった感じでしたが、今ってそういうの、どうですか?

いわれてみると、
子供のころ父や母の実家では、ちょくちょくお墓参りに行ったり、
家にお坊さんが来て仏壇でお経をあげてたのを見たことありますけど、
最近はそういった光景も全然目にしないですね。

実は私、まだ実家にいますが、家には仏壇がありませんし・・・
ここ数年は 父も母も忙しくて、
お墓参りに行けてないんじゃないかなと思います。

そうなんですよね。
お墓参りに行きたいなと思ったら、すぐに行けるような近場であれば、
祭祀承継者になってもお墓の管理などすぐできるかもしれませんが、
最近は、
お墓から遠いところに住んでいる人が増え、
また、いろいろな事情があってすぐに行けないことが多いかと思います。

そもそも、祭祀承継者とは、
先祖を祭っている墳墓(ふんぼ/お墓)や仏壇、家系図にあたる系譜などを
引き継ぐ人のことです。

そして、この墳墓、仏壇、系譜などを祭祀財産(さいしざいさん)といい、
一族にとっては必要なものであるケースがほとんどです。

ですが、
祭祀財産は分けることができないので、祭祀承継者1人が引き継ぎます。

ちなみに、祭祀財産は財産ですが、相続税のかからない財産です。
なので、祭祀承継者となって、祭祀財産を相続しても、
相続税がその分多くかかることもありません。

祭祀財産の種類

祭祀財産の種類は、3つです。

●系譜(けいふ)
 先祖から子孫への血縁関係や系統とその情報が描かれている絵図のことで、
 典型的な例では、一族の系譜は巻物や掛け軸などで受け継がれている家系図などのことです。

●祭具
 祭祀が行われる時に使われるものの総称で、
 仏壇、仏像、位牌や神棚などの用具すべてを祭具といいます。

●墳墓(ふんぼ)
 墳墓とは、故人が葬られている設備をいいます。

祭祀承継者は、祭祀財産を相続するんですね。
でも、
引き継ぐだけなら簡単そうだけど、
祭祀承継者はどういうことをしないといけないんですか?

祭祀承継者の役割

●お墓の管理
 お墓参りをしたり、法事を行ったり、管理費を支払ったりします。

●仏壇の管理
 線香をお供えしたりお花をお供えしたりします。
 命日には、お坊さんをよんでお経をあげてもらったりもします。


●お寺の檀家さんとなって、お寺とのお付き合いする家もあります。
 檀家としてお布施や、お寺へ寄付をしたりもします。
 その代わりに、供養を手厚く行ってもらえたり、お墓を管理してもらえる
 といった利点があります。

このように、
祭祀承継者の役割として、手間もお金もかかってきます。

お墓から遠くに住んでいる場合などは、
年に何度もお墓に通うに時間もかかりますし費用もかかってきます。
そういったことから、
祭祀承継者となる者がいないなどといった問題も出てきます。

そうだ、
祭祀承継者は誰がなるの?なんかそういうのを継ぐのは、
長男って感じの風習とかありそうですよね。
お墓とかお寺とか。
なんだかしきたりとか重視しそう。勝手なイメージだけど。

祭祀承継者になるのは、民法の897条でこのように決められています。

第八百九十七条 
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

民法より

民法では、
系譜や祭具、墳墓など祭祀財産の所有権は慣習に従って決める。
ただし、
被相続人(亡くなった人)が、次の祭祀承継者を指定していたら
その指定されたものが承継する。
それでも決まらなかった場合は、家庭裁判所で決めてもらう。
ということになります。

次の祭祀承継者を決めるとなった時、被相続人(亡くなった人)から、
次の祭祀承継者は●●にするなどの指定があれば、
そうなるし、
昔からの慣習に従って決めるということであれば、
長男が引き継ぐということになりますが、
先ほど説明したとおり、
住んでいる場所が遠いし、仕事が忙しくてなどの理由で、
長男が拒否する場合は、
家庭裁判所で誰が祭祀継承者になるのか決めてもらうことになります。

え~
なんだか結構それを決めるの難しそうじゃないですか?

今時、
長男が受け継ぐなんていうのも少なくなってきてる気がするし。
逆にやりたい人が1人じゃなくて何人も出てきたら困るし、
もしも誰もやる人がいなかったらどうなるんだろ。
それこそ家庭裁判所で決めてもらうってことになるんだよね。
なんかお墓問題って結構大変かも・・・。

そうですね。お墓ですしね。
自分の代で荒らしてしまうのもなんだか嫌な気分ですし、
難しい問題ですよね。

そういうことで揉めないためにも、
事前にエンディングノートや遺言書に書いておくことはできますし、
今はお墓を永代供養などで管理してもらえるところが多いので、
そういうお墓にしたり、
そういったことを考えることも必要になってきているかもしれませんね。

祭祀承継者になったからといって、
いろいろな役割は、法的にやらなくてはならないということでもないので、
祭祀承継者がいるから安心というよりは、
きちんと祭祀承継者として管理していくという、
やる気がある人がならないと、
結局は役割を何もしないことになると思うので、
事前に親族での話し合うことはやっぱり大事ですね。

そうね。
今度、話し合ってみるわ~。

もめごとは、大敵です。
他にもわからないことがあれば、
行政書士アイセイ事務所 にご相談ください。

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